女の業とか心の闇とか

そんな言葉に弱い私、辛く暗い“女の一生”とか、内面を掘り下げたものとか、そういう小説が大好きです。共感できるできないは別として、同じ女性として、いろいろな女性の人生に興味があるのです。

柚木麻子さん『ナイルパーチの女子会』を読んで、東電OLみたいだという文章が出てきたので、ふと思い出して久々に読み返してみました。 

グロテスク

グロテスク

 

  救いのない話ですが、桐野夏生の小説の中でいちばん好き。この後から桐野作品は生理的に受け付けないものが多くなってあまり読まない(読めない)のですが、これは今までに何度も読み返しています。女たちの苛酷な物語。

『グロテスク』を読んだあと、もっと女の業に思いを馳せたくなって(なんで私ってこんな嗜好なんでしょう…)本棚から取り出したのは

女坂 (新潮文庫)

女坂 (新潮文庫)

 

 これ、ほんっとに泣けます。国文科だったので、そのときの授業ではじめて読んで以来、何度も読んでは苦しくなって、でもとても好きな一冊。家父長制の犠牲になった女たち、女に生まれたばかりに、現代では考えられないような仕打ちに耐える女たちが哀れです。だけど、こういう生き方しか出来なかった女性たちが実際にいたことは忘れてはいけないと思うのです。