細雪

 読書は好きだけど、本なら何でも読むというタイプではないので、読みたいものが何もないな~という時があります。そんなときは大体『細雪』か『風と共に去りぬ』か『源氏物語』を読みます。“物語”というものが好きなのと、現実世界では家事と育児と仕事に追われているので(笑)、作品の世界に没頭できるような本を読みたいというのが理由です。何も考えず、実生活に何の役にも立たないものを読むというのは、なんと贅沢な時間なのかと思います。そして、そういう読書が私の好きな読書です。
そういえば余談ですが、私は子どもの頃から本が好きでしたが、実生活に役立つようなものは読まなかったので、「本ばかり読んでいるくせに、そんなことも知らないの?」とか「常識も何も身についてない」とかよく言われましたが、それが本当に納得いかなくて。読書好きなら頭が良いと思われるのも納得いかなかった。私にそういうことを言った人はどんな本を読んでいたんでしょう。そして何の為に読書していたんでしょうか。頭を良くするため?実生活に役立たせるため?人生、いかに生きていくか、とか?…

細雪 (上) (新潮文庫)

細雪 (上) (新潮文庫)

 

 話は逸れましたが『細雪』、何度読んでも面白くて、ドラマチックな展開はないので本当なら退屈な筈なのに、その退屈さが面白く、そして読む私は歳を重ねるごとにますます面白く感じるようになっていく。私も若い頃は初期~中期の谷崎を好んでいましたが、だんだん後期作品の雅さに心を奪われるようになりました。『細雪』は自分の年齢と共に、感情移入する姉妹が変化していくのが面白くて、今はまだ次女の幸子でした(いつ頃になったら鶴子にいくかしら…)。