悦ちゃん

二月も終わりですが、今年になって最初に読んだ本。

悦ちゃん (ちくま文庫)

悦ちゃん (ちくま文庫)

 

一年のはじめに読む本は“乙女図書”と決めているのです。

昭和十一年に新聞小説として連載されたというこの作品、テンポが良くてユーモアがあってとても面白かった。なにより主人公の十歳の少女・悦ちゃんが魅力的。子どもらしからぬ生意気な口をきくし、周囲を冷静な目でよーく見ているし、良識ある大人は好かないタイプの子どもかもしれません。でも、オシャマで賢くてとっても健気。気づけば悦ちゃんの味方になって読みすすめていました。

時は昭和初期。物語の主な舞台は東京だけど、場所によって言葉遣いや身につけるもの、住居の様子など風俗が違うのですね。当時の流行り言葉?も楽しい。『シャン』って『いい女』みたいな意味なのかなー。昔の話だけれど、とてもモダン。

娘と私 (ちくま文庫)

娘と私 (ちくま文庫)

 

 あまりにも面白かったので、妻を亡くして娘を抱えて後妻を迎え…という同じ設定(というか獅子文六自身の私小説的要素)のコチラ ↑ も続けて読んでみましたが、こちらはもっと叙情的で、これもとても良かったです。